吉良上野介から見た忠臣蔵
吉良上野介関連の文学作品を紹介
4. 解説書・エッセイなど
- 2022/03/21 (Mon)
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『ゑひもせす (ちくま文庫)』(杉浦日向子)

江戸時代にまつわる短編マンガ集。
●「吉良供養」
討入り当夜の吉良邸の犠牲者を一人一人追う形で、惨事の成り行きを辿ったルポ形式マンガ。17ページと短編で、ところどころ喜劇的内容もはさんでいながら、事件そのもの描写には仮借がありません。自筆の緻密な吉良邸絵図面なども添えられた浮世絵風の画面で、江戸時代当時の文書のパロディ、あるいは歴史の裏から見た忠臣蔵、どちらとも取れる怪作。
『新版 吉良上野介』(鈴木悦道)

愛知県西尾市吉良町の、東条吉良氏菩提寺・花岳寺ご住職によるエッセイ集。『実像 吉良上野介』の増補改訂版です。
地元ならではの貴重な資料やエピソードを豊富に盛り込み、上野介の人となり、吉良家の歴史、忠臣蔵や町の四方山話などなど、吉良家側に立ちながらも偏ることなく書かれています。
今回の改訂で、吉良町と赤穂市の遺恨を越えた交流の経緯が載せられており、大きな見所になっています。
『吉良の男 (1961年)』(尾崎士郎)

かつて吉良領だったところに生まれ育った作者が、地元の英雄・吉良上野介、清水一学、吉良の仁吉を通しで描いた貴重な長編伝記です。清水一学部分は同じ作者の短編「清水一学」とほとんど丸々一致しますが、前後にエッセイの形で上野介のエピソードが入れられています。
『吉良上野介を弁護する (文春新書)』(岳真也)

別記事の『吉良の言い分』『梅嶺院富子の場合』の作者による吉良上野介解説書。小説執筆時などの参考資料をふんだんに使い、従来の吉良上野介悪役説を否定していきます。
熱意が高じて論調に少々前のめりな部分があるのもご愛嬌(?)で、「『吉良の言い分』ファンブック」として読むのが面白いかもしれません。小説とセットで、吉良上野介という人物をおさらいできる一冊。
『新装版 若き獅子 (講談社文庫)』(池波正太郎)

別記事の「元禄一刀流」「清水一学」の作者による短編伝記集。また、浅野内匠頭の人となりを同じ筆致で追った「消防士浅野内匠頭の見参」も収録。
●「台所に隠れていた吉良上野介」
刃傷事件以後から討入りまでの吉良家の様子をたどるエッセイ。浪士に立ち向かい翻弄される吉良家のありさまを証言資料で追いながらも、吉良・浅野どちらにも過剰に入れ込まない、読みやすい内容です。
『文学強盗の最後の仕事 (井上ひさしエッセイ集)』(井上ひさし)

別記事の戯曲『イヌの仇討』の作者によるエッセイ集。
●「日本の仇討」
上述の戯曲『イヌの仇討』の文庫版に収められたエッセイを抜き出したもの。吉良上野介を話の軸に、なぜ忠臣蔵は受けたのか、そしてなぜ仇討話は受けてしまうのか、踏み込んで解き明かす一本。
『冗談新選組 風雲児たち外伝 <増補新版>』(みなもと太郎)

著者一流のひねりを加えたマンガで見る、歴史上の人物・事件。
●「仁義なき忠臣蔵」
取り潰された大名家が数ある中で、どうして赤穂浪士だけが討入りの挙に出たのか? という疑問に、方言=お国柄から迫った一作。マンガ中で忠臣蔵の登場人物にそれぞれの出身地の方言をしゃべらせており、浪士のほとんどはヤクザ映画でもおなじみの、キッツい播州訛り。
マンガ自体は全編ギャグですが、表情やアクションは勢いがあり、腕前を感じさせます。また、忠臣蔵絡みの文章コラムも並行して書かれ、忠臣蔵を演じた役者から切腹のあれこれ、果てはテロリズムについての見解まで、実はすごく真剣な作品です。
『吉良上野介随談―人間・霊魂・復讎 (1981年)』(堀川豊弘)

吉良上野介研究を続けてきた著者による随筆集。
東京両国の松坂公園(吉良邸跡地)の由来から、秋田に吉良家忠臣の碑を建てた話、資料から見る吉良上野介の人となり考察まで。吉良びいきが高じてだいぶ力みすぎの感がありますが、上野介関連の主要史跡の由来がよくわかります。
『江戸を駆ける』(神坂次郎)

江戸時代の歴史的人物にまつわる短評集。吉良上野介のほか、赤穂「不忠臣」の代表格にされている大野九郎兵衛も、丸々一章割いて解説・弁護されています。忠臣蔵以外には、食べるの大好きな御畳奉行・朝日文左衛門が書き続けたグルメ日記なんて愉快な章も。
●「赤馬にのった吉良上野介」
吉良上野介という人物を短くまとめた一編。少々上野介びいきが強い感もあるものの、コンパクトで分かりやすい内容となっています。
『砂の本 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)』(ボルヘス)

アルゼンチンの国民的作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスによる短編集。本書収録の世界悪党列伝「汚辱の世界史」シリーズの一編として、吉良上野介の名が挙げられてます(いつもの悪役ですが……)。
●「無作法な式部官 吉良上野介」
A. B. Mitford 著 "Tales of Old Japan" を底本に、吉良上野介というよりは忠臣蔵のストーリーを大まかに紹介し、それを通して全人類普遍の「忠義」に思いを寄せています。作者は独裁政権下で弾圧に苦しんだ経歴を持ち、そのお陰で忠臣蔵の「理不尽な権力へ一矢報いる」という部分に興味を惹かれたのかもしれません。
"Tales of Old Japan" (A. B. Mitford)

上記の「無作法な式部官 吉良上野介」執筆にあたって、ボルヘスが参照した本がこちら。第1章 "THE FORTY-SEVEN RONINS" が参照元と思われます。
『吉良上野介の覚悟』(中津攸子) ※未読


江戸時代にまつわる短編マンガ集。
●「吉良供養」
討入り当夜の吉良邸の犠牲者を一人一人追う形で、惨事の成り行きを辿ったルポ形式マンガ。17ページと短編で、ところどころ喜劇的内容もはさんでいながら、事件そのもの描写には仮借がありません。自筆の緻密な吉良邸絵図面なども添えられた浮世絵風の画面で、江戸時代当時の文書のパロディ、あるいは歴史の裏から見た忠臣蔵、どちらとも取れる怪作。
赤穂側に死者のない事でも
察しがつくが
完全なワンサイドゲームである。
浪士・原惣右衛門によれば
「敵対して勝負仕り候者は
三、四人許り、残りの者どもは
立合に及ばず、通り合せに
討捨て」られたという。
大半の者は事態もわからず
斬られている
<『ゑひもせす (ちくま文庫)』245ページより引用>
『新版 吉良上野介』(鈴木悦道)

愛知県西尾市吉良町の、東条吉良氏菩提寺・花岳寺ご住職によるエッセイ集。『実像 吉良上野介』の増補改訂版です。
地元ならではの貴重な資料やエピソードを豊富に盛り込み、上野介の人となり、吉良家の歴史、忠臣蔵や町の四方山話などなど、吉良家側に立ちながらも偏ることなく書かれています。
今回の改訂で、吉良町と赤穂市の遺恨を越えた交流の経緯が載せられており、大きな見所になっています。
若い人びとの純粋で素直な心は気持ちのよいものである。過去のいきさつがどうあろうと、現代に生きる若者同士が心から手を結び合えたのである。こうした機会がなければ、おそらく赤穂と吉良の人びとは、何のこだわりもなく親しく話し合えることは永劫になかったであろう。
<『新版 吉良上野介』185ページより引用>
『吉良の男 (1961年)』(尾崎士郎)

かつて吉良領だったところに生まれ育った作者が、地元の英雄・吉良上野介、清水一学、吉良の仁吉を通しで描いた貴重な長編伝記です。清水一学部分は同じ作者の短編「清水一学」とほとんど丸々一致しますが、前後にエッセイの形で上野介のエピソードが入れられています。
「お気の毒なお殿様」
それ以外にいうべき言葉があろうか。もし仇討ちという言葉があるとしたら、それは赤穂浪士ではなくて、吉良領の民が主君の恥を雪ぐために行うべき重大な使命ではないのか。
これがために吉良上野に対する親近感は年とともに高まってきた。
<『吉良の男 (1961年)』58ページより引用>
『吉良上野介を弁護する (文春新書)』(岳真也)

別記事の『吉良の言い分』『梅嶺院富子の場合』の作者による吉良上野介解説書。小説執筆時などの参考資料をふんだんに使い、従来の吉良上野介悪役説を否定していきます。
熱意が高じて論調に少々前のめりな部分があるのもご愛嬌(?)で、「『吉良の言い分』ファンブック」として読むのが面白いかもしれません。小説とセットで、吉良上野介という人物をおさらいできる一冊。
「三人居り申し、皿又ハ茶碗炭なとニ而投打をいたし候ゆへ、間十次郎其まゝ鑓つけ申候、上野介殿前に両人立ふさかり防き申者殊外働き申候、両人共ニ打果申候、上野介殿も脇さしをぬきふり廻り被申候処を重(十)次郎鑓つけ……」(『熊本藩細川氏家中堀内伝右衛門筆記』)
なんと、なんと、この浪士の談話では、上野介も「脇さしをぬきふり廻」して戦っているではないか。
<『吉良上野介を弁護する (文春新書)』200ページより引用>
『新装版 若き獅子 (講談社文庫)』(池波正太郎)

別記事の「元禄一刀流」「清水一学」の作者による短編伝記集。また、浅野内匠頭の人となりを同じ筆致で追った「消防士浅野内匠頭の見参」も収録。
●「台所に隠れていた吉良上野介」
刃傷事件以後から討入りまでの吉良家の様子をたどるエッセイ。浪士に立ち向かい翻弄される吉良家のありさまを証言資料で追いながらも、吉良・浅野どちらにも過剰に入れ込まない、読みやすい内容です。
吉良上野介という人物を、これ以上は憎たらしい奴にしたくても出来ないというところまで毒々しく塗り上げた芝居や映画を見ても、今の若い人達は、そういう見方をする。
現代人をナットクさせるためには、ますます吉良を悪どく、いよいよ内匠頭を清廉潔白に描くということより、忠臣蔵を見せる手段はないものであろうか――。
この辺で、史実的な忠臣蔵がつくられてもよいと思う。
吉良の立場に立って描くというのではなく存分に資料を駆使したリアリズム忠臣蔵が出てもよいとおもうのだが――
<『新装版 若き獅子 (講談社文庫)』30ページより引用>
『文学強盗の最後の仕事 (井上ひさしエッセイ集)』(井上ひさし)

別記事の戯曲『イヌの仇討』の作者によるエッセイ集。
●「日本の仇討」
上述の戯曲『イヌの仇討』の文庫版に収められたエッセイを抜き出したもの。吉良上野介を話の軸に、なぜ忠臣蔵は受けたのか、そしてなぜ仇討話は受けてしまうのか、踏み込んで解き明かす一本。
もうお気づきのように、仇討は、日本の物語の基本的な話型である貴種流離譚、流され王と筋立てが同じである。もちろんこの話型は世界的に偏在するけれども、われわれはとくにこれを愛している。そしてあまりにも愛するがゆえに、実在の人物の実人生までもこの話型に当てはめて理解する。
<『文学強盗の最後の仕事 (井上ひさしエッセイ集)』198ページより引用>
『冗談新選組 風雲児たち外伝 <増補新版>』(みなもと太郎)

著者一流のひねりを加えたマンガで見る、歴史上の人物・事件。
●「仁義なき忠臣蔵」
取り潰された大名家が数ある中で、どうして赤穂浪士だけが討入りの挙に出たのか? という疑問に、方言=お国柄から迫った一作。マンガ中で忠臣蔵の登場人物にそれぞれの出身地の方言をしゃべらせており、浪士のほとんどはヤクザ映画でもおなじみの、キッツい播州訛り。
マンガ自体は全編ギャグですが、表情やアクションは勢いがあり、腕前を感じさせます。また、忠臣蔵絡みの文章コラムも並行して書かれ、忠臣蔵を演じた役者から切腹のあれこれ、果てはテロリズムについての見解まで、実はすごく真剣な作品です。
真面目な、正義感のある人間であれば、テロは必ず一度はたどり着く思想であると思います。人間のみが持つことのできる純粋さではないかとさえ考えます。
しかし、それを実行に移したとたん、人間は何かを踏み越えてしまうと思うのです。人間たることを否定する何かを。
<『冗談新選組 風雲児たち外伝 <増補新版>』175ページより引用>
『吉良上野介随談―人間・霊魂・復讎 (1981年)』(堀川豊弘)

吉良上野介研究を続けてきた著者による随筆集。
東京両国の松坂公園(吉良邸跡地)の由来から、秋田に吉良家忠臣の碑を建てた話、資料から見る吉良上野介の人となり考察まで。吉良びいきが高じてだいぶ力みすぎの感がありますが、上野介関連の主要史跡の由来がよくわかります。
慰霊碑を建てたのは、最初から無縁のみ仏となられた吉良家臣二十士の遺籍、供養の一事に尽きることであって、元禄事件の歴史の改訂の裏付けなどということにはならない。要はひたすら供養に任ずれば足ることである。
<『吉良上野介随談―人間・霊魂・復讎 (1981年)』59ページより引用>
『江戸を駆ける』(神坂次郎)

江戸時代の歴史的人物にまつわる短評集。吉良上野介のほか、赤穂「不忠臣」の代表格にされている大野九郎兵衛も、丸々一章割いて解説・弁護されています。忠臣蔵以外には、食べるの大好きな御畳奉行・朝日文左衛門が書き続けたグルメ日記なんて愉快な章も。
●「赤馬にのった吉良上野介」
吉良上野介という人物を短くまとめた一編。少々上野介びいきが強い感もあるものの、コンパクトで分かりやすい内容となっています。
吉良の名物に「赤馬」という可愛いい玩具がある。赤馬は、領主、吉良上野介義央の愛した、かれの乗馬なのである。
<『江戸を駆ける』158ページより引用>
『砂の本 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)』(ボルヘス)

アルゼンチンの国民的作家ホルヘ・ルイス・ボルヘスによる短編集。本書収録の世界悪党列伝「汚辱の世界史」シリーズの一編として、吉良上野介の名が挙げられてます(いつもの悪役ですが……)。
●「無作法な式部官 吉良上野介」
A. B. Mitford 著 "Tales of Old Japan" を底本に、吉良上野介というよりは忠臣蔵のストーリーを大まかに紹介し、それを通して全人類普遍の「忠義」に思いを寄せています。作者は独裁政権下で弾圧に苦しんだ経歴を持ち、そのお陰で忠臣蔵の「理不尽な権力へ一矢報いる」という部分に興味を惹かれたのかもしれません。
彼はしかし、全人類の感謝に価する人物なのだ。なんとなれば、痛切な忠義の心を呼びさまし、不滅の偉業のために必要な凶事を用意したのだから。
<『砂の本 (集英社文庫)』203ページより引用>
"Tales of Old Japan" (A. B. Mitford)

上記の「無作法な式部官 吉良上野介」執筆にあたって、ボルヘスが参照した本がこちら。第1章 "THE FORTY-SEVEN RONINS" が参照元と思われます。
The two nobles were accordingly forced to go daily to the castle to listen to the instructions of Kotsuke no Suke. But this Kotsuke no Suke was a man greedy of money; (後略)
<"Tales of Old Japan" 20ページより引用>
『吉良上野介の覚悟』(中津攸子) ※未読

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